ビジネスシーンでは、相手への気遣いは当然必要ですが、その中でも相手のために何かを願うような形も見られます。
「お祈りいたしております」もそのようなフレーズの1つであり、これより解説いたします。
「お祈りいたしております」とは?
「祈る」とは、ご存じのように「何か良いことが実現するように、あるいは悪いことが起きないように、神仏や人智の及ばない万物を司るようなものに対して強く願うこと」です。
相手のために自分が祈っているので、「お祈りして」を「お祈りいたす」という謙譲表現を使った、「お祈りいたして」という形にしています。
また、最後の「おります」は、話の聞き手や受け手でもある相手に対し配慮するために用いられる、いわゆる「丁重表現」と呼ばれる敬語表現です。
強い丁寧表現の一種とされ、「いる」の謙譲語「おる」の連用形「おり」に丁寧表現助動詞「ます」が合体して「おります」となっていることから、「謙譲表現Ⅱ」として説明されることもあります。
「お祈りいたしております」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズがビジネスで使用される場面としては、いくつか考えられます。
・「お見舞い」の場面
相手が体調を崩した場合に、回復や快復を願う場面で使用されます。
「早期の快復をお祈りいたしております」のような形での使用します。
・「不採用」の場面
就職の採用の可否において、不採用の場合、相手の今後の就職活動が上手く行くことを願う場合での使用です。
「今後のご活躍をお祈りいたしております」のような形での使用します。
・「相手の幸せや活躍」を望む場面
「結婚生活が幸せなものであることをお祈りいたしております」のように結婚式に送る電報などでよく使用されます。
全体として、概ね相手のことを強く思った上での表現ですが、相手の実力や能力がかなり影響するようなことについては、「祈る」を用いるとむしろ非礼と受け取られることもあり、若干注意が必要です。
「お祈りいたしております」を使った例文
それでは、上記以外に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『ご成功を心よりお祈りいたしております』
・『留学生活が充実したものとなるようお祈りいたしております』
「お祈りいたしております」の言い替え
「相手のためになるよう強く願う」という意味合いのフレーズで代用すると共に、丁重表現を用いることで代用します。
・「心から願っております」
強く願うことを表現しています。
・「切望しております」
こちらも「心から願う」の意味がある「切望する」を利用した言い替えです。
・「祈念しております」
「祈念」は「きねん」と読み、「願い事を祈り、成就を念じること」という意味があります。
まとめ
「お祈りいたしております」とは、相手の幸福を望み、その成就を願って、自分が相手のことを十分に考えていることを伝えるためのフレーズです。